暁のかたる・しす

文筆家/編集者・中川大地のはてなダイアリー移行ブログです。

【仕事告知】機動警察パトレイバー ザ・レイバー・インダストリー

もしも、ソ連が、崩壊しなかったら?
もしも、大震災が、東京湾で起きていたら?
もしも、地球温暖化が、ずっと急速に進んでいたら?
もしも、ネットやケータイのかわりに、乗用ロボットが普及していたら!?

機体カタログ、メカニカルテクノロジー、社会背景と経済効果、犯罪と治安、軍事利用……
究極のリアルロボットフィクション機動警察パトレイバーの世界を新たな視点で再構築
平成日本の20年を逆照射する、“レイバー”という「終わらなかった昭和」の架空産業史


……という個人的テーマで編集・執筆に参加しておりました昨年来の仕事が、ようやく2/24に発売のはこびとなりました!
いろいろと語るに尽くせぬ紆余曲折がありまして(^^;)、残念ながら本来目指していた2008年中の刊行には間に合いませんでしたが、アニメ『機動警察パトレイバー』20周年を期に、いまや「近過去」となってしまった同シリーズの世界観を現在の視点から徹底的に再考証し、「レイバー産業」の全貌を劇中の2003年の時点から振り返る仮想現実ジャーナルという趣向で編じた記念ムックです。

機動警察パトレイバー ザ・レイバー・インダストリー 〜レイバー開発全史〜
asin:4056050880

【仕事告知】タチコマ本『しょく〜ん!』と『サイゾー』ポニョ特集

qyl010212008-10-23

 いつもながらリアルタイムからワンテンポ遅れての告知で恐縮ですが、先日、半年間かけて編集した久々の書籍と、これまた久々にガッツリと特集構成をやった「サイゾー」が発売になりました。

 本の方は、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズに登場する、一見可愛らしいコメディーリリーフだけど実は作品テーマを深く体現しているという思考戦車「タチコマ」を全面フィーチャーしたファンブックです。

◆TACHIKOMA'S ALL MEMORY  しょく〜ん! 

攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX TACHIKOMA'S ALL MEMORY しょく〜ん

攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX TACHIKOMA'S ALL MEMORY しょく〜ん

http://www.kisousha.co.jp/tachikoma/

 『攻殻S.A.C.』関係の本というと、とかくマニアックな資料性とかスノッブなスタイリッシュさを狙って、やたら詰め込み気味でとっつきづらい、黒っぽい装丁のものが多かったんですが、白くて青いキャッチーな正方形が特徴の本書。下記ニュースサイトでも類書にないユニークさとご紹介くださってて、ありがたいこってす。

攻殻機動隊 S.A.C.」のタチコマONLY本 10月20日に発売
http://animeanime.jp/news/archives/2008/10/_saconly_1020.html

 タチコマ自身の語り口調でメモリーをプレイバックするという趣向でシリーズの全ストーリーを改めて見返すという基本構成の中に、作り手として込めた思いとしては、なるべく親しみやすいシンプルな語り口を採ることで、むしろお話と主題の本質を鮮明にすること。『攻殻S.A.C.』シリーズは、観る側がつい「インテリ転がし」的なかたちで細部の難解なキーワードに引っかかって、逆に読み解きのピントがボケてしまうことが起こりがちな作品なのだけれど、まさに「無知の知」を地でいくタチコマ自身のごとく、「ああ、『S.A.C.』って要するにそういう作品だったよね…!」ということが改めてクッキリと見えてくる本になったかなって思います。


 『サイゾー』11月号の方でやったのは、『崖の上のポニョ』総括特集。遅れてきた夏休みの自由研究って感じですかね。

◆大混乱の『ポニョ』論争を考える!
http://www.cyzo.com/2008/10/post_1070.html
<<スタジオジブリ宮崎駿の最新作『崖の上のポニョ』が、大ヒット中だ。鈴木敏夫プロデューサーが「傑作」と断言し、作品への評判も上々だが、巷の声に耳を傾けてみると、肝心な「物語」に関しての解釈や評価が、不思議なくらいにバラバラ! いまあらためてその魅力を探るべく、気鋭の論者らと共に『ポニョ』の "正体"を考える!>>

 …といったミッションを拝命して、これまでに語られた『ポニョ』論の状況整理をしつつ、切通理作さん、町山智浩さん、宮台真司さん、東浩紀さん、宇野常寛さんといった、サブカルチャー論壇的には大変豪華な5名に揃い踏みを実現。どれも目から鱗の発見ばかりで、取材も執筆も非常に楽しい仕事でした…!
 とはいいつつも、僕自身の感触としては、上の主旨文で謳われているほど本質的な意味での「解釈論争」は、巷でも今回の論者たちの間でもなかったんじゃないかな? と感じていたりもして。なにせ、あらゆる階層の人が観るほぼ唯一の「国民作家」たる宮崎駿なのだから、評価のレベルに一定の賛否の幅があるのは当然のこと。なので、ただ「こんなにいろんな意見がある」という並記に留めず、評価の分岐が生まれるポイントを明らかにした上で、むしろ「宮崎駿」という複雑な存在に対する論者たちの、ひいては日本人のコンセンサスの在り方が今どうなっているのかという点に関心を持ちながら、皆さんの語りをコーディネートさせていただきました。
 実際、『ポニョ』で発揮された宮崎監督の圧倒的な体感喚起力には誰一人文句をつけず、インテリの中途半端な解釈づけには意味がない、とする点では皆が一致していて、一筋縄ではいかない『ポニョ』とハヤオの多義性にどう向き合うかという批評家としての実践的な態度だけが、それぞれのスタンスに応じて異なっていたのだと思いますので。

 そんなわけで、この特集を読んでからもう一度『ポニョ』を観ると、かなーり色々な発見があると思いますよ。そしてとりもなおさずそれは、自分自身の立場や経験の再発見でもあるという…。
 で、僕自身がどんな再発見できたかまでは紙幅的にも特集趣旨的にも誌面には書けなかったので、いずれ何かの機会にまた。

地域情報ブログ「濹塔綺譚」はじめました!

夏ぐらいから、ぐずりぐずりと準備しておりましたが、地元でやってる新東京タワーの建設観察盛り上げ活動「すみだタワー(仮)構想を考えてゆく住民の会」の仲間たちと一緒に、↓のような読み物系ブログを始めました。
エントリ上げてから納得いく体裁になるまで色々手を入れ続けてしまって、5日も過ぎてからのノンビリ告知で恐縮ですが(苦笑)

■濹塔綺譚(ぼくとうきだん) http://blog.livedoor.jp/bokutoukidan/

夕方の茜空に、どこか遠くの筋を行く豆腐屋のラッパが、響いている。そんな情緒あふれる東京の下町に、雲を突き抜けるほどの、巨大な建造物、新東京タワーがやってくる。町の人々の心に去来する期待と不安。音もなく、新東京タワーの物語が始まった。

地域情報ブログ「濹塔綺譚」は、新東京タワーと濹東の地・すみだに関するニュースやトピック、エッセイなど、様々なコンテンツを掲載していきます!

まあ、一応はこのはてな日記が僕の本来の個人ブログなわけですが、もともと筆も遅いのに加えて、どうもやはりある程度のテーマ的な枠組みを外的な要請で与えてもらわないと、なかなかまともにものを書く気になれない性分で、ご覧のようにほとんどイベント告知くらいにしか使えていませんでした。
なので、本気で「コンテンツをつくる」つもりでブログに挑戦したのは初めてみたいな気分でしたんで、ブログなりの読みやすい体裁づくりとかって、紙媒体とはかなり勝手が違うことに今さら気づかされたり。いやはや自分の現役ドロップアウトなおじさんぶりをつくづく思い知らされてしまいました(^^;)

ただ、自分が本当に書きたいと思うテーマの文章を随分久しぶりに書けた感じ。むしろ個人ブログより、本来の自分がのびのび出せたかも。「考えてゆく会」の活動本体での情報発信では出せなかった『新ゴー宣 脱正義論』を踏まえてのオルタナティブ探索への意識も、やっと言えたしw

そんなわけで、この「濹塔綺譚」の方、墨田や新タワーのことだけに限らず、関連する本の紹介やエンタテインメント作品評なんかも含めつつ、僕のトータルな活動を通じての思想展開の場としても活用していけそうな予感がしてます。
よろしければ、お目通しくださいませ!

8/4土曜日は久々にDJ

7月末のしわ寄せ回復にまだまだアップアップで軌道に乗り切れず、またもやこんな直前告知でありますが……。

今週8/4(土)は、久々にホームの幻想浮遊系DJイベント「macoron4」で回します!!


『macoron4(マコロン4)』

開催日時 :2007年8月4日 15:00〜21:00
開催場所 :Artist Space 千石空房
http://www.sengoku-kubo.com/
都営三田線千石駅から徒歩8分、JR山手線巣鴨駅から徒歩12分、東京メトロ丸の内線茗荷谷駅から徒歩10分 )


遊佐未森を中心に「幻想浮遊系音楽」をかけまくる、
メロウでなだらかなラウンジイベントの第4弾。

今回は「夏」をキーワードに、ノスタルジックでサウダージ
幻想浮遊楽曲の数々をご堪能いただけます。

イベントの定番スイーツ「仙台まころん」をはじめ、
遊佐曲にちなんだかき氷も用意する予定。

会場は、築80年の昭和長屋の一角を改装した、まさに休暇小屋という感じのまったり空間。

大きく窓を開けた時には、いい風が走る道になります。

夏の休暇前の土曜の昼下がりに、それとも夕涼みのお時間にでも。

ともに夏のてのひらの上でたわむれましょう―――


DJ■■■

D-Nak.(中川大地)
BONUS
iso(磯)
KaTZ
hikaru (nankado)
楳図かずえ
タカセユイコ

Live■■■

KaTZ
まっちゃアイス+KaTZ+hikaru (nankado)ユニット

charge■■■

800円(フリードリンク)

超緊急告知! 千石空房1周年と『PLANETS vol.3』発売!!

qyl010212007-05-30

なんの因果か、
今週土曜日の6月2日はテレビ東京系『出没! アド街ック天国』「白山・千石」特集にて「Artist Space 千石空房」が紹介され!
翌3日には「第二次惑星開発委員会」発刊のミニコミPLANETS vol.3』の発売となり!!
その翌4日は千石空房がオープン1周年記念日を迎えます!!!

というわけで、これらすべての気運をまとめあげた一連のイベントシリーズ企画を、下記のように開催することになりました。


《「Artist Space 千石空房」1周年記念感謝祭 プログラム》

  • 6/2(土) 19:30〜23:00

第1夜 宵宮パーティ 〜「ユメレジ」「アド街」を観ながら〜
オープン記念日2日前のこの夜9時より、白山・千石を特集した「アド街ック天国」が放映されます。5/16に放映されたCS番組「ユメレジ」の録画とあわせてプロジェクター上映しながら、前夜祭パーティを開催します! ぜひ一緒にお祝いしましょう☆
■入場無料(飲食代は参加者頭割りで、おそらく2000円前後。持ち込み大歓迎!)

  • 6/3(日) 18:00〜21:00

第2夜 「ファスト風土」vs「昭和古民家」――“カルチャー戦国時代”の生き延び方
千石空房マネージャー中川大地も参加する新刊ミニコミ誌『PLANETS 03』の即売会を兼ねたプレゼントーク
         *         *         *        *
アート、文学、音楽、サブカル伝統芸能、オタク、スピリチュアルetc……。
あらゆる文化ジャンルが細分化され、互いに他を顧みることのないまま乱立する00年代。もはや求心力ある「メインカルチャー」が壊滅する一方、世界的な経済グローバリズムの潮流は、全国の都市と郊外の風景を急速に画一化しつつあります(「ファスト風土」化)。そしてネット環境の日常化が、かつてない規模で多様なコンテンツの消費を人々に解放し、ダイナミックなコラボレーションの結節点になる反面、それぞれの文化から地域性や歴史性を剥ぎ取り、デジタルな流通販路に乗るかたちに変質させる圧力になっていることも無視できません。
このように文化の物理的・情報的なアーキテクチャー(成立基盤)が規格化されていく流れの下で、近年のカルチャーシーンでは、「昭和」ものが流行したり、各地で古民家をリノベートするアートムーブメントが起こるなど、グローバルな時流への「抵抗」らしき動きも見受けられます。「Artist Space 千石空房」もまた、こうしたカウンタームーブメントの文脈の中に位置づけられる試みのひとつと言えるでしょう。
しかしそれは、すでに地域の伝統や共同体がほとんど機能していない現状下、結局は虚飾で固められたテーマパークであり、イイ気な趣味人たちが自己満足するための退行的なノスタルジー趣味でしかないのではないか。殺伐たる「ファスト風土」環境に適応したネオ郊外型のコンテンツカルチャーが文化の中心を握りゆく中、千石空房のようなユルい都市サロン型カルチャーに、はたして未来はあるか?
ネット界随一のシビアなツッコミ力を誇るサブカルチャー評論ユニット「惑星開発委員会」の新刊『PLANETS vol.03』の即売がてらに問題提起。本誌をテキストに、「アド街」放映に無邪気に浮かれる千石空房に鋭くクギ刺し、オープン1周年を自己チェックします(笑)。
■入場無料(要ワンドリンクオーダー/『PLANETS 03』1500円)

  • 6/4(月) 19:00〜22:00

第3夜 “あげ羽”酒房
千石空房店番スタッフ/出展アーティストであり、芸者置屋「まつ乃家」では芸者としてマルチに活躍中のあげ羽が女将をつとめる、ユルくてアヴァンポップなアート酒房! オープン記念日のこの日から6/9(土)にかけて、日替カレーと白山・千石ゆかりの様々な酒肴を楽しめます。お仕事帰りにぜひお立ち寄りを!!
そして特製スタンプカードで、毎日通っていただいたお客様には、6/10(日)のフィナーレで豪華特典を進呈予定!!!
■MENU
 日替カレー 600円〜
 白山・千石ゆかりのおつまみ各種 150円〜 など

  • 6/5(火) 19:00〜22:00

第4夜 アニメを視ようよ Vol.1
白山在住のSF史家・永瀬唯監修による、アニメーションフィルムのレクチャー上映会。第1回テーマは「宮崎駿再入門」。「ジブリ」ブランドで国民作家になってしまった宮崎さん。でも、世間のイメージとは違う宮崎さんがいる。東映動画の若手アニメーターとして頭角をあらわしたころから、ここ15年間で、いちばんとんがったチャゲ&飛鳥のプロモーション・ヴィデオまで。まんが映画から世界に誇る日本発のアニメまで。宮崎駿をも一度視なおそう。
■上映予定作品
 『太陽の王子 ホルスの大冒険』『空飛ぶゆうれい船』『どうぶつ宝島』『ルパン三世』各話など

  • 6/6(水) 19:00〜22:00

第5夜 和房すぴこん
ヒーリングシェル和房のスペシャル版として、日々のヒーリング&セラピー営業品目を一同に勢揃い。クリスタルボウルの響きに乗せて、各種セッションを体験できる、全国唯一のチャンス。流行にながされない、スピリチュアリティの深奥へと誘います。
■セッションMENU
 レイキ、オーラソーマ、クリスタルリーディング、タロット占い、アートセラピーetc

  • 6/7(木) 19:00〜22:00

第6夜 「和」のお座敷演芸会
三味線、民謡、都々逸など、数々のお座敷演芸をご堪能いただきます。純和風の伝統的な演目からアッとおどろくような異種交配演目まで、座興の流れしだいでゆるゆると展開していきます。外を歩けばチントンンシャンと、お稽古事の音色がどこでも聞かれるものだった古き街の風情を思い起こし、生活に密着した芸をお楽しみください。
■入場無料(要注文/投げ銭制)

  • 6/8(金) 14:00〜22:00

第7夜 「ロマ屋」 エスニック〜オリエンタル DANCE PARTY
 世界庶民ハナヲ店長による世界音楽喫茶企画の第5回。
 NO PA,NO DJ,acoustic music onlyの超自由ダンパ。
 踊りスタイル自由、衣装ジャンル自由、持ち込み楽器自由。
 もちろん全員飛び入り扱い。
 出演者はいない、客もいない、企画者もプログラムもなし。
 なにもおこらなければ起こらない、起こらなくても怒らない、
 興せばかならず熾るのが祭りの常。
 所詮極東のイナカモノ魂で歌えや踊れや、少し近所を気にしつつ。
■入場無料(要オーダー/投げ銭制)

  • 6/9(土) 15:00〜22:00

第8夜  DJイベント&ライブ「STRANGE SUNSET vol.2」

AORを中心としたLight Mellowなサウンドの、大人のためのDJ&ライブ。美味しいお酒と素敵な音楽、どちらも上質を知る大人の必需品です。聞いたことのない、でも聞いたことがあるような…そんな素敵な音をお楽しみいただけます。お酒はメジャーなものから、珍しいれんげ酒や純米大吟醸酒までご用意。
■チャージ 1000円(ワンドリンク付き)
■DJ
 ひとし 我田飲水 ふり〜まん DEWA/AWD マルコ
■ライブ
 MATZG

  • 6/10(日)

第9夜 千秋楽
【昼の部】三木きよ子・泥だんご教室 (第1回)11:00〜13:00/(第2回)14:00〜16:00
6/2放映の「アド街」でも共に取りあげられている、土絵作家の三木きよ子による「光る泥だんご」づくりのワークショップ。どろんこをぴっかぴかに磨き上げて作り上げる、色鮮やかな「泥だんご」はまさに文字通りの珠玉! 古来日本家屋の壁作りのエッセンスを継承した、子供から大人まで幅広い世代が楽しめる、貴重な体験の機会です。
■参加費 2500円(材料費込み)

【夜の部】感謝祭ファイナルステージ&大宴会 18:00〜22:00
いよいよ千秋楽。千石空房ゆかりのアーティスト陣による、様々なジャンルのパフォーミング・アクトで、9日間にわたった感謝祭をしめくくります。
■入場料 1000円(フリードリンク&フード)+アーティスト投げ銭
■出演(予定)
 カルカンエコー(弾き語り)
 あげ羽(都々逸ほか)
 なんかどう(同人音楽と小説)
 ヤススキイ(エレクトリックカリンバ
 M2代目/美澤豊(日本舞踊)
 バルカノータ(バルカン半島小アジア器楽)


このうち、第2夜のプレゼントークでは、『PLANETS vol.03』の巻頭座談会「僕たちの好きな?ファスト風土」や、宮台真司氏と森川嘉一郎氏の特別対談「生き延びるための思想 ――都市とメディアの現場から」で論じられた問題意識を敷衍するかたちで、中川がまずは感覚的な実践として手がけてきた千石空房の活動をこの際、知的に整理し、掘り下げて紹介してみるつもり。

千石空房の雰囲気からすると、全取り扱い品目の中で最も異質でヤクザなこのミニコミですが(笑)、この03号については、いよいよ「地域」や「コミュニティ」をめぐる真っ向からの問いかけがばっちりかみ合い、この空間に置く意味が際立って高まっています。
おそらく贔屓目なしに、すべての商業媒体をひっくるめて、現代日本の若者向け文化状況を知的に把捉する雑誌としては、最高度のクオリティに達していると言っても差し支えないでしょう。こういうサブカルオタク文化評論みたいなものにはまったく興味のなかったお客さま方にも、千石空房という接点を通じて、ぜひ読んでもらいたいなと、今号は初めて感じさせてくれました。
イベントの論題とは関係ありませんが、特に「恋愛特集 LOVE 2007」はものすごく面白く読めると思いますよ(笑)!

というわけで、千石空房1周年の総括式典としても、『PLANETS vol.03』の販促イベントとしても、なるべく有意義なものになるよう、精一杯がんばりますので、どちらのお客様もぜひお運びくださいませ!!

4月のイベント告知×2

4月中旬は、イベント2本を主催します。
いつにも増しての勝負イベントになりますので、どうかお運びいただければ幸いです!

ひとつは、地元墨田区での新タワーに関するトークイベントです。参加資格は墨田区の方だけでなく、まちづくりや都市再開発、タワー建築ファン、今時の地域コミュニティ振興に興味ある方全般が対象ですので、他地域にお住まいの方もぜひお気軽にどうぞ!

《新タワーから考えてゆく まちづくりミーティング 〜任せちゃおけない! すみだの未来〜》
いよいよ4年後には現実のものとなる、押上・業平橋に建設予定の新東京タワー。全高660mもの世界一の電波塔の出現は、私たちが慣れ親しんできた静かな下町の風景に衝撃を与え、まちの性格に後戻り不可能な変化をもたらすことは確実です。
そこで、タワー計画の現状と問題点をふまえながら、すみだの未来のまちづくりに対して、私たち一般住民に何ができるかを考えてゆく、初のトークイベントを開催します。住民自身が主役になる「下からのまちづくり」はいかに実現できるか、東京の他のまちおこし事例も参照しつつ、ちゃんと地元カルチャーのタメになるムーブメントの芽を探る、ささやかですが自由気ままなトーク会です。
知識、職種、資格、党派云々は一切不問。等身大の関心で、気軽にお越しください。東向島にオープンした地域密着型のお洒落なカフェで、美味しい珈琲とケーキを楽しみながら、ざっくばらんに語らいましょう!

日 時:平成19年4月14日(土) 午後4時〜7時
会 場:東向島珈琲店 Pua mana(京成線・東武伊勢崎線曳舟駅から徒歩5分)
     東京都墨田区東向島1-34-7 03-3612-4178
参加費:1000円(お飲み物とケーキつき)
主 催:すみだタワー(仮)構想を考えてゆく住民の会
お問い合わせ:糸井成夫 03-3635-2012 webmaster@itoi.co.jp

【プログラム(予定)】
 第1部 教科書が教えない新タワー計画(現状報告)
 第2部 「原宿表参道元氣祭 スーパーよさこい」の場合(ケーススタディ
 第3部 私たちに何ができるか? 何がしたいか?(自由討論・懇親会)
http://sumidatower.saloon.jp/



もうひとつは、お待たせしました!
2月の鈴木祥子カフェの流れを受けての、千石空房でのガールポップDJイベントです。さあ、このラインナップでどれだけの人のツボを突くことができるか(笑)。
何が飛び出すか、今からドキドキですw

《隙間ガールポップ Day&Night》
80年代後半から90年代初頭にかけて、音楽シーンを席巻した「ガールポップ・ムーブメント」。「アイドル」から「アーティスト」への脱皮をめざして、色とりどりの女性シンガーたちが生まれては消えていったこの時代を中心に、いろんな意味の「隙間ガールポップ」たちをかけまくる、キラキラの異色DJイベントを開催!! 
決してメジャー・ブレイクはしなかったけれど、ボクたちの胸に鋭く甘酸っぱいリグレットを刻んだ、ニッチな歌い手たちの曲にギュンギュン酔いしれる、日曜日の午後。
他ではまず開かれることのない、数々の異色音楽イベントを成功させてきた昭和古民家空間「Artist Space 千石空房」が、この日、せつなくガーリーな恋と青春のるつぼに変わります♪
とびっきりのこの想い、キミに届けッ―――☆


◆日時/4月15日 15:00-21:00
◆場所/Artist Space 千石空房(都営三田線千石駅から徒歩7分)
◆入場料/1000円
◆DJ
 大輔
 磯(iso)
 hikaru (nankado)
 楳図かずえ
 KaTZ
 D-Nak.(中川大地)
◆アーティスト・レパートリー(予定)
 久宝留理子井上昌己田村直美
 近藤名菜/佐藤聖子/加藤いづみ
 小比類巻かほる白井貴子麗美
 かの香織さねよしいさ子伊藤真澄
 野宮真貴畠山美由紀安藤裕子
 飯島真理コシミハル早瀬優香子
 種とも子/松下里美/柿原朱美
 原みゆき/NeNa/mana/
 花岡幸代/今井麻起子/鈴木祥子
 森高千里/渡辺美奈代/三浦理恵子
 鈴木蘭々酒井美紀辺見えみり
 福間未紗笠置シヅ子
 東京パフォーマンスドールribbon
 フェアチャイルド/ZELDA/PSY・S
 dip in the poolNav Katze/VELVET-PAW/
 エリス・レジーナ/スー・レイニー/
 ナハワ・ドゥンビア/ジェーン・シベリー

[オトクイ-000:試運転]セットリスト

昨土曜のオトクイには、皆さんいっぱいのお運びありがとうございました!
ふりかえると千石空房の音楽イベントは、昨年5月に最初に遊佐未森の大正〜昭和レトロ歌謡カバーアルバム『檸檬』をキーコンセプトに据えた[macoron2]を行い、リニューアル日本古民家の雰囲気とアイデンティティに最もマッチした企画で幕開けました。
そこからギター弾き語りライブやアイリッシュライブ、M川さんの和房イベント内でのヒーリングDJ企画、「幻想浮遊系」全面解禁の [macoron3]、クリスマスジャズ、世界各地の倍音ワールドミュージックDJライブ、鈴木祥子カフェと、落ち着いた雰囲気のアコースティックor エスニックルーツ系音楽の枠内で土台を築きながら、徐々に幅を広げていくイベント経験を蓄積。
そうした基礎固めが済んで、いよいよ運営スタッフ外のDJの手による、hikaruさんの先週のジャーマンロックや、今回のSOSUKEさんのオトクイで、本格的な異種ハイブリッドに挑んでいく時期に入ったような気がして、感慨深かったですね。
今後も軸線は軸線で守りながら、AORやあとで告知する隙間ガールポップなど、よそではできない、さらなるバラエティ豊かなイベントを実現していきたいと思います!

というわけで今回の中川担当分のセットリストです。

【前半】
邦楽ボーカル曲中心に、80〜90年代ソフトロック/ガールポップ的で“メロウでなだらか”な僕の出身ジャンル「幻想浮遊系」と、90〜00年代的なクラブミュージック隆盛を経た“踊れるビート感”や“ダークな彼岸性”を備えたデンホリ路線との融合をはかった選曲を試みました。特に12→13のルーツ遡及の流れに、このセットリストのコンセプトが集約されてるかな。

1「New World」 新居昭乃『エデン』より
2「ラ・フェット」 ZABADAK『WELCOME TO ZABADAK』より
3「Lonely Rolling Star」 椛田早紀『塊フォルテッシモ魂』より
4「永遠とは」 ORIGA『永遠』より
5「Wild Horse」 Nav Katze『うわのそら』より
6「閉ざされた画室」 ALI PROJECT『Aristocracy』より
7「ナルシス」 久保田早紀『夢がたり』より
8「僕のビー玉」 ZABADAK『COLORS』より
9「サリーのビー玉」 新居昭乃『Sora No Uta』より
10「Sweet thing」 鈴木祥子『Hourglass』より
11「鳥の詩」 LiaAIR』より
12「夏草の線路 -Album Mix-」 KOTOKO to 詩月カオリ『LAMENT』より
13「夏草の線路(Ruby Grapefruits Version)」 遊佐未森『TRAVELOGUE』より
14「宇宙のまほろば」 島みやえい子『O』より
15「地平線」ZABADAK 『SIGNAL』より
16「BLUE」菅野よう子 『COWBOY BEBOP 3 BLUE』より

【後半】
海外曲やインストゥルメンタル中心に、電子音源と民族系音源を独自のかたちでハイブリッドした幻想系ポップミュージックの拡がり方を体感できるよう、トランス的な電子系リミックス曲群や「ポップ」と「ルーツ」を対比させる曲順で構成。ブルガリアンヴォイスの3→4とか、邦楽ニューウェーブ系の三味線曲で5→6、ガムランのリミックスと原曲で7→8、それから世界各地の音楽の共生をはかった「エコフォニー」を銘打った9で締める、という流れですね。

1「ブーゲンビリアReflect」 遊佐未森『Bougainvillea Reflect』より
2「Reincarnation」 Goddess in the Morning『Goddess in the Morning』より
3「Atomic Bird」 管野よう子『Song to fly』より
4「Devoiko Balno Li Ti E」 Quartette Slavei『Bulgarian Polyphony IV』より
5「あわの唄」 和完『The Sketch Of Moondays/Day Side』より
6「花の鳥」 木下伸市『魁』より
7「Black in White」 P-MODEL
8「Skar Jupen」 Tirta Sali『絢爛と超絶のガムラン』より
9「転生」 芸能山城組『輪廻交響楽』より
10「some other time」 Gabriela Robin攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX O.S.T.』より
11「Caribbean Blue」 Enya『Shepherd Moons』より
12「雪華の神話 -in X'mas mix-」 KOTOKOUZU-MAKI』より

あと、今回のトーク企画【ジャンル名を決めよう】の模様はまたのちほど!