暁のかたる・しす

文筆家/編集者・中川大地のはてなダイアリー移行ブログです。

【仕事告知】大修館PR誌『辞書のほん』に掌編小説掲載

ちょっと異色の仕事です。
奇妙な縁あって、大修館書店(『明鏡国語辞典』『ジーニアス英和辞典』などの版元)が発行している季刊PR誌『辞書のほん』2013年春号のシリーズ連載「辞書、のような物語。」にて、掌編小説「レキシカントは言霊生命の夢を見るか?」を書かせていただきました。下記リンク先の書店で無料配布中のようです。

⇒目次 http://www.taishukan.co.jp/item/jishonohon/9.html
⇒取扱店舗 http://www.taishukan.co.jp/item/jishonohon/ichiran.pdf

これは放送作家藤井青銅さんや小説家の森山東さんなど、様々なジャンルの言葉のプロが毎号二人ずつ「辞書」を題材にした掌編を寄せていくというオムニバス企画なんですが、これまで書かれた10編をまとめた単行本が4/20に発売されるとのこと。辞書つながりで、ちょうど『舟を編む』の映画公開に合ったタイミングなのがナイスですね。

http://www.amazon.co.jp/dp/4469291005/

この所収に間に合わなかったのが大変残念ながら(笑)、今回の拙作では言語心理学認知心理学で人間の言語能力の根幹にあるとされている「心的辞書(メンタル・レキシコン)」の概念を外挿した近未来SF的な世界観を膨らませてみました。
で、お話としては、手垢つきすぎもいいところのベタな本歌取りタイトルの通り、Google日本語入力やボカロ文化を通過した現代日本の情報環境の水準から、ディック以来のお約束の主題をアップデートしたらどうなるか…という今時ありえないほどストレートな思考実験をしています。
『電気羊』だけでなく『ブレラン』『攻殻』、あと『初音ミクの消失』なんかもこっそり踏襲する感じで…

ただ、それだけだと辞書のテーマを抽象方向にズラしてお茶濁した感じになってしまうのがイヤだったので、もしかしたら紙の辞書の最後の存在意義になるかもしれない言語ゲームたほいや」を重要なギミックとして絡め、お題の正面突破を図ってみたのが自分的なポイントです。はたして成否やいかに…。

というわけで、久々に実作脳を使えた楽しい仕事でした。
機会あればご笑覧ください!