特別掲載
父として考える/東浩紀+宮台真司
特集の緊張感と一転、思わず頬が緩まずにいられない非常にハッピーな対談。しかし内容は本質的で、『東京から考える』の問題意識を突き詰めた、地に足ついた分析と提言が素晴らしい。そして実は、ここでの視点は宮崎座談会の結論に接続しての、あるべき「公共性」の像を具体的に考えたものでもあります。子を持ち育てる勇気が湧いてくる、希望への想像力に満ちた、いわば特集の「発展編」。
「生命化するトランスモダン」への助走――「環境」と「生命」の思想戦史/中川大地
こうしたどえらい流れの最後に、畏れ多くも置かれてしまった拙稿。ひたすら恐縮ながら、自分なりにここまでの多くの論点を包摂し(もちろん執筆時に本書の他のコンテンツを知っていたわけではないので、あくまでも提起されるはずの価値観を予想して)、ある種のアンサーを試みるボーナストラック的に機能するよう、心がけたつもりでした。
つまり、仲正〜黒瀬論考までで提起された日本特殊性論のクリシェたる「悪い場所」としての屈託を過去のものとする認識を引き取り、斎藤論考における想像界や身体の階層性を仮構する理論構成に対応し、アニメ座談会〜宇野論考までの時代認識と批判的市場主義としてのハイブリッド化戦略を踏襲し、宮崎座談会・子育て対談におけるM2コンビのおかげで浮き彫りにされた<生活世界>に立脚するゾーエー的な公共性を指向する思想として、90〜ゼロ年代の中沢新一が追求していたように、日本にはもともと生命主義的な基盤がある。それを現代の生命科学や情報技術の水準でアップデートするのが、思想史的には最も王道なはずだというオイシイ主張をしているのが、実はこの論文です(笑)。
さて、成否のほどはいかに……。
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- 作者: 東浩紀,北田暁大,宇野常寛(編集協力)
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2009/11/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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