暁のかたる・しす

文筆家/編集者・中川大地のはてなダイアリー移行ブログです。

豊富な描き下ろしリニューアル・イラストで彩る、パトレイバー版『ガンダム・センチュリー』!?

本誌は、学研ムック「歴史群像」シリーズのスピンアウトとして、フィクション世界の歴史をあたかも現実にあったのかのように考証する特別編集企画「アナザー・センチュリー・クロニクル」の第3弾にあたります。ちなみに第1・2弾は一昨年発売の『機動戦士ガンダム 一年戦争全史』。ガンダムの場合は、もともと作品世界が第二次世界大戦の欧州戦線をモデルにしている部分が大きいので、まんま「歴史群像」のセルフパロディといった趣向がピタリとはまったわけですが、レイバーの場合は現代日本の企業社会が舞台なので、さらに一味違ったスタイルのコンセプチュアル書籍になっています。ガンダム本で言えば、どちらかというと『アナハイム・ジャーナル』に近い体裁かもしれません。
ただ、アニメの設定画や場面写真を一切使わず、まるまる一冊分オリジナルの描き下ろしによる代表的なレイバーイラストでビジュアルを固め、作品内での描写から大幅に踏み込んだメカの科学技術考証や歴史経緯の設定創作を体系的に行った初の書籍という点では、むしろ『ガンダム・センチュリー』に似た位置づけをもった本だと言えるでしょう……!

とにかく、宇宙世紀と違って「90〜00年代の日本」という圧倒的なリアリティを背景に持つパトレイバー世界の場合、我々の生きている「いま・ここ」の時点でのテクノロジー水準でもって、全高7mほどの乗用作業ロボットが実現する機構を説明づけなくてはならない。のみならず、それが「製品」として社会の様々な場面に普及するための政治経済的・社会史的条件や、犯罪や軍事に利用・応用される場合の理路を、いかに作品世界と矛盾せず、現実の歴史との地続き感のあるものとして説明するか―――。

そんな難題に、『一年戦争全史』を手がけたSF・架空戦記作家の林譲治氏と、『ガンダム・センチュリー』の伝説を築いた科学技術研究家の永瀬唯氏をツートップ監修に迎えて挑んだ、渾身の一冊です!!