暁のかたる・しす

文筆家/編集者・中川大地のはてなダイアリー移行ブログです。

新タワー建設推進協議会主催シンポジウム

昨日は、区内企業・商工会・町会等からなる新タワー建設推進協議会主催の有識者シンポジウムに、「すみだタワー(仮)構想を考えてゆく住民の会」として出席。昨年来の活動でどうにか協議会内に入りこみ、住民向けの公開性の説明と議論の場をという我々の提起から実現した、第一弾の試みという位置づけです。
当会は、タワーとまちづくりの指針についての叩き台ペーパーを作成し、商工会案等とならぶ住民案としてパネラー陣に提出し、議論の基調づくりに参画したという次第。

先日の日記に書いたように、ちょうど東武からデザイン案が出た直後のタイミングだったので(あるいは東武側がこのシンポジウムに間に合わせるように発表した部分もあるだろう)、新タワー会社社長からの詳しい報告やプロモーション映像などもあり、想定したよりはオフィシャル感の強い盛大な会になっていました。
で、「新タワーに望む、下町文化の創成」をテーマとして展開された議論の中身も、まあさすがにこちらの提起ほどのラディカルさはないものの(笑)、これまでの都市開発パラダイムを見直し、正味のコミュニティ恢復や地域性・伝統を重視した本来的なアメニティ環境の再生を目指すコンセプトはかなり温度の高いかたちで汲み入れられており、今後の方向性へのコンセンサスという点では、個人的にはけっこう肯定的な手応えを感じました。
特に建築家・環境デザイナーの彦坂裕氏と東大工学部の小出治教授からの「景観の障害になるのは超・超高層のタワーではなく周辺の中層建築だ」という話や、「偽物ではないプライドの持てる本当の日本文化を」「タワーを水環境の改善にコントリビュートさせよ」といった議論は、いろいろ触発されるところが多かった。

シンポジウム後は、以前に「新稜雲閣」案のプレゼンで接見した東武新タワー会社の担当課長に自分としてのデザインへの評価を伝えたり、安藤・澄川氏がそれぞれどんな見解で現案を監修したのか、三角形をベースにしたデザインが当初パースからの継続なのかどうかを訊いたり、区の担当主任にイベントのダメ出しをしたり(笑)。
あとは当会会長と作戦会議をしながら、今後のアクションプランと最優先で対処すべき「敵」を見定めました。

そんなこんなでなんだか自分の中では会での種蒔きのほか、サブカルライティングの本業、山城組や千石空房での蓄積、あとたまさかライスワークで接した不動産情報仕事での知見なんかも有機的に繋がりだして、いよいよ具体的な道が芽吹きはじめている気がする。

そう、この撤退戦、同時に機動攻城戦でもあるのだ。