暁のかたる・しす

文筆家/編集者・中川大地のはてなダイアリー移行ブログです。

ウルトラマンは助けてくれない 「命(ぬち)ど宝」ーーウルトラマン脚本家・上原正三の見た戦争 担当:佐藤賢二(id:gaikichi)

そして本特集を締めくくる、存命の戦争体験者からの唯一の証言。「昭和20年で戦争が終わらなかった」沖縄から、現在につらなる体験として、そのリアリティを子供向け特撮番組に込めつづけた語り部の誠意を、『帰ってきたウルトラマン』ほかの上原作品の場面を差しはさみながら聞きだしていく佐藤賢二の構成が見事。


以上のように、「フィクション」→「現実の戦争体験」、「現在」→「過去」へと漸近してゆく中核特集はここまで。この後ボーナストラックのように、会田法行氏による元特攻隊員の久貫兼資さんへの取材記事「沖縄へ飛んだ日 19歳が命を懸けて守りたかったもの」、および中村正則編集長による「マコ・イワマツ 最新作『祖国』ーー抑制と激情の狭間で揺れた日々」と、戦争体験を直球で訊いてゆく2本の記事が配されていますが、これらをただの昔話とはしないための接続回路として機能させることこそ、我々の特集の眼目といえるでしょう。

ぜひ、お手にとってご一読を。